長く続く胸の痛みを東洋医学で説明

胸の痛みは急性と慢性がありますが、どちらにしても心臓、肺の問題により起こります。

 

急性で激痛の場合狭心症や心筋梗塞、肺の炎症などの心臓や肺の疾患で現われるものなのでここでは割愛します。慢性のいわゆる「原因がわからない」胸の痛みについて説明していきます。

 

胸の痛みは東洋医学では胸痺(キョウヒ)といいます。

「痺」とはしびれや痛み、こわばりや、運動障害などを表す字で、膝や腰、関節リウマチなどでも痺が原因であり、胸に限ったものではありません。

 

【その発病因子とは】

環境的要因(気候など極端に熱い、寒い、風が強い、湿度が高い)

内的要因(慢性病や、飲食の不摂生、過度の肉体的・精神的ストレス、加齢)

などがあげられます。

 

様々な要因により、心や肺を流れる気血、滋養している経絡が詰まることにより渋滞を起こし痛みとなるのです。

 

詰まる原因にも虚(足りない)と実(あふれている)があり、

気や血や津液といった体を滋養するものが足りない場合(虚)と、

気や血や湿(余分な水分)があふれている場合(実)がります。

 

実際は虚と実が入り混じっていたりするため痛み方もしくしく、ズーンといった場所が特定しにくい痛みかと思えば、瞬発的にズキンと痛む時もあり、その時々で変わりやすかったりもします。

さらには胸が痛いからといってそこだけが痛い(悪い)わけではない場合がほとんどであり、胃やみぞおちが張っていて重苦しかったり、背中や首が痛かったり…

腹診

胸に自覚がある状態というのは別の場所にも必ず問題があります。つまり胸に顕著というだけであって治療は胸ではなく全身なのです。

 

特に現代社会では感情のうっ滞(気滞、血滞)、飲食の不摂生による余分な水分(痰湿)、気候の急変による体温調整の難しさ(寒、熱)、カロリー不足ではなく栄養不足などにより「痺」詰まりは起こりやすいといえます。

【自分でできる対処】

胸を触ってみると熱かったり、もしくは、胃のあたりが冷たいか水風船のような硬いけどぶよっとしているようなケースがあります。その場合は胃に余分な水分があるので胃を冷やさない、水分を取り過ぎないなど胸の経絡に滞りが波及しないようにする必要があります。(痰湿)が原因ならば食べ過ぎ飲み過ぎを控え、軽い運動など気血を巡らすことで余分な水分が排出されていきます。

 

肝臓や脾臓などみぞおちがパーンと張ったように硬い場合は、睡眠不足や集中しすぎるなど神経を使い過ぎたり、感情のうっ滞が考えられますので休息をとるべきです。

 

胸が熱くなく、胃もみぞおちも張っていない、なんなら胸が冷たいという場合は、滋養不足の可能性があります。単に栄養が不足しているのか?吸収できない原因がほかにあるのか?心が満たされない(心の感情は喜びに相当するため気血が停滞する)ような精神的要因があるのか?などなど複雑な原因になってきます。

 

【まとめ】

東洋医学での触診では、皮膚の熱さや冷たさやしこりやざらつきや湿りを診ます。

胸が痛いのならまずはご自分で乳首と乳首を結んだ中央のツボ(膻中:だんちゅう)を触ってみてください、そこは心臓の状態、胸の気が反映される場所。その次は鎖骨の下のくぼんだところのツボ(中府:ちゅうふ))は肺の状態が反映される場所です。

 

次は上腹部(胃)、肋骨の下からみぞおち(肝、脾)、下腹部や足(腎)

 

これらが熱かったり、張っていたり、硬かったり、むくんでいたり、または力(張り)がなかったりしていて体は異常のサインを出しているかもしれません。

 

原因がわからずただ毎日痛くて辛いと不安にもなるし、精神的に疲弊してきます。そうなるとそのストレスこそ悪化の要因になりえます。

 

急性で激しい痛みなら病院でまずは検査するのが当たり前ですが慢性ならば自分で判断し生活習慣を見直せるのであればチャレンジしてみてはいかがでしょうか?