現代医学の恩恵

鍼灸をしていると現代医学、特に薬で症状を抑えることに疑問を感じ、鍼灸だけでどんな症状でも改善できると思うようになります。

 

私も疑問を感じ、どんな症状でも有効だと思っている一人です。

 

しかしその有効というのも時期、病の程度によりけりなため鍼灸ではダメ、良くなることはあってもその患者さんが望むような完治は不可能という場合がある。
こんなこというと世の大先生から「お前がヘタなだけじゃ!」と一蹴されるかもしれませんが笑
大変悔しいのですが無理なものは無理で、現代医学に頼らないといけないことがあります。

 

どんな症状がそれにあてはまるかというと、

たとえば変形です。骨、血管、皮膚・・・

 

癒着なんて時間をかけるととれることもあるでしょうが、重度の場合手術したほうが良いし、骨の変形なんて鍼灸では無理です。
ことわっておくと、体は変形するものです、赤ちゃんの肌が年齢とともに固くなっていくように重力や温度の影響を受けて体は変形し続けます。
問題はその変形が生活に支障をきたすレベルの場合で、変形していてもその支障に直結していない場合は手術しなくてもいいのではないかと思います。

私は手にできものがあったり、声帯ポリープがあるのですが取ってません。支障といえば上手く歌えなくなったこと、歌う度に手術しようか迷いますが…

 

鍼灸とは自分で治す力を高めるというものです。変形に伴う痛みや症状を改善することはできても変形そのものを治すのは難しい、変形が原因であるならばマシな状態の維持はできるかもしれないが症状の消失はできません(あくまで変形が原因であるならばです)体力がまだある場合はじっくりと治すよう鍼灸治療を続けてもいいでしょう、しかし進行性の場合は一種のカケかもしれませんが手術に踏み込んだほうが良いと思います。そして手術ができないほど体力の低下が著しい場合も再び鍼灸の出番です。

 

鍼灸の古典にも無理なものは無理とちゃんと書いてあるのに、こなくなった人は無視して良くなった人が全てと思い込み「なんでも治せる!」なんていう鍼灸師にはならないよう気を付けないと…

 

というのもそれだけ鍼灸は可能性があり、体を変化させることができるためなんでもできると錯覚しやすいのです。

よくいわれるのが鍼灸、つまり東洋医学はマクロ、現代医学はミクロで疾病を捉える。だからあえて同じ土俵でどっちが優れているなんて言いあう必要はありません。ファーストチョイスである現代医学で治るならそれでいいでしょう。治らなかった単純な問題ではないものが鍼灸を選択する、その流れが変わることは今後もありません。

 

やはりそこまで病が深くならない内に、自分で修復することができるうちに生活スタイルを見直すか、できれば治療を受けておくべきです。そして重度の場合、緊急を要する場合は手術や投薬が必要ですが、その後の体力の回復にはやっぱり鍼灸をしたほうが良いですよ。